『お金を払っているのに、何故私達が家事をしなくてはいけないの』から考える自立支援

介護施設のあたりまえだと思っていた事が、実は他ではそうでない事もあるという知らされた事がありました。

当会に入職した正規職員とは必ず言葉を交わし、オリエンテーションをマンツーマンで実施していています。

先日他のグループホームで働いた経験がある職員に当会グループホームと前職で働いていたグループホームの違いについて聞いた所、「以前働いていたグループホームのご入居者は『お金を払っているのに、何故私達が家事をしなくてはいけないの』という事をよく言われており、自立支援の向き合い方をこちら(当会のグループホーム)で再度学んでいます」という言葉を聴き、自立支援について考えさせられる事がありました。

当会のグループホームはシェアハウスと介護施設のハイブリッド的な感じで、「一般的な家庭ではあたりまえ」いう家事等をご入居者と必ずやるわけではありません。

『お金を払っているのに、何故私達が家事をしなくてはいけないの』から考える自立支援

例えば食事。
家庭の数だけ生活スタイルがあるので一概ではないのですが、2021年現在80歳以上の高齢者に関しては、自炊する家庭が割合としては多いと思います。

では大多数の「あたりまえ」で言えば、食事はご入居者と買い物に行き、調理を一緒にする事をサポートする事がグループホームの役割だ!というグループホームもあると思います。
その部分だけ切り取る形ではありますが、家事は必ずしも楽しい事ばかりではない事も事実。しかし、家事を続ける事が生活のハリとして、できる事をつづけるという意味では大切な事です。

自立支援の言葉の意味を考えると、きっと今までできていた事をできるように介入したり、見守ったりする事が介護現場ではスタンダードなのかもしれません。

話しを戻して食事に関して当会のグループホームにおいては、食事は調理専属スタッフがつくる事を前提としながら、調理が得意であったり、好きなご入居者には一緒にやっていただく
という選択の余地を残しながら声掛けして携わっていただいています。

当会のスタンダードを前提に冒頭の職員との会話『お金を払っているのに、何故私達が家事をしなくてはいけないの』の意見もとってもよく理解できます。
役割は違いますが、自分の生活に置き換えると、お金を払って泊まったホテルで「掃除やベッドメイク、風呂掃除はご自分でお願いします」と言われたらどうか。
自分が外食に行き、レストランで「材料を買って、ご自由に調理してください」と言われたらどうか。
ちょっとよくわからない状態になりますよね。

自分に置き換えると、「(快適な)空間」「時間」「サービス」に対してお金を払っているという事はよくわかります。
では認知症の診断を受けた要介護の高齢者は自分達と違うのか?

住まいとホテルは全然違いますが、グループホームにお住まいのご入居者も「(快適な)空間」「時間」「サービス」に対してお金を払っている要素はあるように思います。
ではその中で、自立支援を成立させるにはどうすれば良いか。

色んな方法論がありますが、シンプルに”やらされている感”があるかないか。自分が率先してやりたい事なのか。
という事かと思います。

自立支援だけでなく、仕事も健康づくりも、やらされている感があると苦痛に感じ、続かない。
やはりやる動機付けをつくれるかどうかの働きかけと、選ぶ余地があるシステムが肝なような気がしています。

私達の日常でも、お金を払って自分で調理する局面がありますよね。
例えば焼肉屋に行った時がそうです。
店員は焼く素材を持ってきて、お客が調理をします。

焼肉屋で肉を焼く事に「やらされている感」はないです。
なんでやらされている感がないかの真ん中にあるのは、目の前で焼く事が「楽しい」からだと思います。

焼いた肉が出てくる焼き肉屋は寂しく、何かが違う感じがします。

グループホームでの生活にあてはめると、食事をつくる買い物も決まったメニューの買い出しに一人で行くのでは、「何で私が?」と思う人がいてもおかしくないです。
例えばそこに「楽しい」要素があればどうでしょうか。
仲の良いご入居者同士、買い物ついでにお茶する事が楽しい とか、自分がつくった料理にいつも「おいしい」と言ってくれる人がいる 事があれば買い物もやらされている事ではなく
自分からやりたい事に変わります。

『お金を払っているのに、何故私達が家事をしなくてはいけないの』
の発言も、実は自立支援につながるまでの関係性の構築ができていないかもしれませんし、調理が嫌だと思っている人にも「グループホームはこうあるべきだから」という考えから、調理をおしつけてしまったりしているのではないか と様々な要素が考えられます。

=できる事をやってもらう というのは正しくもあり、イコールではないのかもしれません。
できる事でも他者に任せて自分がやりたい事に時間を使いたいと思う事もあります。

その人が好きなこと、どんな事にやりがいや喜びを感じるかの把握と、やりたいと思える動機を直接的、間接的に醸成していく事が自立支援には必要。
と今回の職員との会話では自分の中で一時的に結論づけました。

色々な経験とコミュニケーションを重ね、向き合い方を常にアップデートしていきたいと思いました。


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彌 一勲

特別養護老人ホーム、訪問介護にて施設・在宅ケアに関わってきました。 ご縁があって出会った“人”の人生、生活に向き合い、専門職として関わることを大切にしています。介護が必要になってあきらめかけた自分らしい生活を介護士が黒子(きっかけ)となって叶う瞬間、ワクワクしている表情を見られる時にやりがいを感じます。 認知症になっても住み続けられるまちづくりを医療介護従事者、地域住民の方々と一緒に考え、行っています。