サービス付き高齢者向け住宅の暮らし〜清住の杜町田開設3年経過しての振り返り〜

清住の杜というサービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)を開設し3年が経過しました。

入居の条件は60歳以上ということで、をうけていない方から要3,4の方まで幅広く住んでいただいています。

サービス付き高齢者向け住宅清住の杜町田

法人としての願いはグループホームと同じで、施設内の生活で完結してほしくないということです。
ご縁があってこの地にになるので、お出かけや、周辺にお住まいだった方は交友関係を維持し、サ高住に遊びにきていただいたりするのもいいですね。また地域のの一員として社会性を保ちながら第二の我が家として暮らしていただけるのかなと思っています。

サ高住の中でも

「サ高住のクリスマスバイキング」
https://kashokai.com/blog/archives/13256

「カラオケ」
https://kashokai.com/blog/archives/12816

他にお茶会
https://kashokai.com/blog/archives/12714
などご入居されている方が住居でも楽しめるように、また地域との関わりとして

「地域サロン清住の忘年会に参加」
https://kashokai.com/blog/archives/13196
清住の杜町田の地域室にて行われているふれあいサロンに参加されたり、パン教室に参加されたり。また当法人のデイサービスにてサ高住ご入居者が

「麻雀ボランティア」
https://kashokai.com/blog/archives/13263
麻雀ボランティアをしてくださったり。
地域の子供がハロウィンにお菓子をもらいにきたり

「TRICK OR TREAT(トリック・オア・トリート)」
https://kashokai.com/blog/archives/12919
と嘉祥会らしさがにじみ出ているのですが、こういうことで地域の一員として暮らしていただけています。

仕事付き高齢者向け住宅の話しを最近耳にしますが、嘉祥会のデイサービスにて掃除のパートさんも清住の杜町田のご入居者に呼びかけてみたりしています。

「介護職業務を細分化し、地域に呼びかけることにしてみました」
https://kashokai.com/blog/archives/13319

一部の紹介ですが、このように3年でもいろいろありました。

やはり印象的なのが、「家での生活に自信が持てたから」と退居された方が2名いたことです。
2名のうち2名とも要介護状態でご入居されました。

そのうち1名M様。

M様は元々近隣にお住まいでしたが、腰を骨折された事をきっかけに介護認定を受けました。
立って家事や掃除がつらいとのことで、本来は明るくさっぱりした性格でしたが弱気な発言が多く聞かれていました。
サ高住での生活で家事、掃除の心配が解消され、徐々に腰の痛みがとれてきたこともあって近隣に歩いてお出かけするようになりました。
趣味の楽器演奏や、裁縫もお部屋でやったりと活気も出てきたのが行動を見ても会話をしても感じ取れていました。

ある日、「家で生活していくことに自信が持てたから出る」と退居の申し出がありました。腰の状態がよくなったことが第一にかなり大きいと思いますが、会話の中で「さんざん外出して歩いたからね」と笑って話されていました。

これは利便性を考えると不便だなと思うところですが、清住の杜の近隣は坂が多くあります。ご入居された方々は「仕方ないから」と言いながら、移動手段として歩かれる方が多く、歩いて帰ってこられた時に「今日は◯◯まで歩いた」と報告してくださる方もいます。
清住の杜町田としても「バス」など運行していましたが、近隣のスーパーまで徒歩で日課的に買い物に行く方が多いのがサ高住をオープンして実際に住んでいただいて驚いたところです。
また出歩くのが難しい方には、近くの商店の方がクリーニングを取りに来てくださったり、ほしいパンやお菓子、飲料なども注文をうけて持ってきてくださいます。ご入居者が地域のお店と清住の杜をつなげてくださったのです。

話がそれましたが、歩くなどの運動はうつ病のにいいですし、健常高齢者には認知機能の向上が可能などの研究結果があるように、運動は身体にも頭にも心にも有効だと言えます。
的に坂を歩いたことによって、抑うつ気分が解消し、下肢筋力が強化されたことも一つなのかなと思い、当法人のデイサービスでも個別機能訓練を担当している理学療法士に坂道について話しを聞くと、以下のように答えてくれました。

(坂道を歩く)メリットは平地に比べて下肢を動かす範囲が大きくなる方が多いので、筋力を発揮する量が多いだけでなく、循環にも良い影響があります。歩行単体で捉えたとき、筋力は使っていますが、それほど筋力は使っていないので、アップダウンの環境ではより筋力をつかうので下肢や体幹筋力向上にも効果的かと思います。後は、バランス面もより動かさなくてはいけない環境をあえて作ることで小股の方で常に声かけをしているような方が多少なりとも転ばないようにするために注意をはらうような効果もあるかと思います。それで結果的にバランス面の改善も図れるかと思います。

デメリットとしては耐久性をあげるのにも効果的な反面、平地歩行が短距離しかできない方であれば過負荷になりますかね。同様に心疾患や呼吸器疾患を持つかたはリスクが高い時があります。
後は、膝や股関節に変形などの疾患を持つかたは基本的には変形助長になるためリスクに繋がりますかね。

エビデンスに関しては文献等では賛否両論あるのでなんとも言えないとこもありすが、平地歩行で使う筋と坂道歩行で使用する筋が違う部分もあることや筋力的にはエネルギー消費の観点では多くなると言われています。何%等は色々ありますが、概ね10%(傾斜角度によりけりですが)以上坂道等の方が負担が増えると言われています。」

と気になった坂道の歩行に関しての専門職の意見。

ご本人の気持ちと頑張りがあったことが最大の要因なのは言うまでもありません。

食事面での心配がなく、ご自分のペースでリハビリを行い、自宅に戻る。
重度化防止、孤立防止を含めて「そなえ」として入居できるサ高住はこれから独居の方が増える中では必要な住まいの形だなと実感しました。

そのM様、退居され1年後にご自宅で転倒を繰り返し、また清住の杜町田にご入居されました「帰ってきたわよ」と。今はまた状態がよくなってきたのか、歩いてバス停まで行く姿をよく見かけます。

平成31年3月でオープンして3年立ちました。
今後サ高住をもっとブラッシュアップし、ご入居者満足度を高められるようにしていきたいと思います。

サービス付き高齢者向け住宅清住の杜町田
https://www.carehouse.kashokai.com/

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彌 一勲

特別養護老人ホーム、訪問介護にて施設・在宅ケアに関わってきました。 ご縁があって出会った“人”の人生、生活に向き合い、専門職として関わることを大切にしています。介護が必要になってあきらめかけた自分らしい生活を介護士が黒子(きっかけ)となって叶う瞬間、ワクワクしている表情を見られる時にやりがいを感じます。 認知症になっても住み続けられるまちづくりを医療介護従事者、地域住民の方々と一緒に考え、行っています。