【人材不足は介護だけじゃないし、今より介護業界から人が足りなくなる(後編)】

皆様こんにちは!嘉祥会ブログ担当の彌 一勲(ひさし かずひろ)です。
の後編になります。
介護業界に対するイメージが夜勤等あって辛そうだと思っている方が多いのを前回触れました。
東京都社会福祉協議会の資料の中にある有効求人倍率を産業別に見てみると
保安の職業 4.78
建築・土木・測量技術者 4.07
情報処理・通信技術者 2.16
保健師・助産師・看護師 2.78
介護サービスの職業は(ケアマネや相談員除く)2.02
今現在の介護業界は人手不足と言われていますが、現在はもっと人手不足な業種もあるのも現状です。

しかし、有効求人倍率の高い職種を見ると「キツイ」とか「辛い」「賃金が安い」という認識が世の中に定着している職種が人手不足になっていますね。
逆に事務職は有効求人倍率0.3前後。
嘉祥会でも事務職員の求人をハローワークに出すと電話が鳴り響きました。
あまりに電話が鳴るので、まず履歴書での第一次選考にさせていただいた事もありました。
ちなみに介護職員は有料求人広告に1ヶ月掲載しても一件問い合わせがあれば良い方。
メールで問い合わせくるのはだいたいサクラなんじゃないかという具合。
風の噂だと事務員で募集して「今は事務員いっぱいだから」と介護職を推めてくる事業所もあるようです。
それも一つのテクニックとしてありなのでしょうか?自分なら話しが何かおかしいぞ。と思ってしまう。
就業開始時にどんな条件で働くというのをしっかり就業側も雇用側も把握していないと結局「そんな事聞いてなかった」と
よろしくない関係性で離職のリスクもとっても高いのではないかと推測されますが。
介護業界に少しでも興味を持って働いてくれる人が増えるように、私も自分の思う介護職のやりがいをブログで発信をしていますが、聴くだけで「いいかも」と思っても、就職先によっては「全然話が違う」「理想と現実は違うよね」という話しになってしまいますよね。
友達も某有料老人ホームで完全に消耗して「このままだとこの仕事が嫌いになりそうだ」と相談にきた事がありました。
人手不足の具体的な解決策は未だになく、外国人スタッフとして雇用する事は現実的になっています。
しかし基本的に外国人技能実習生と言って「実習生」ですので、最長5年で自国に戻り自国の発展の為に頑張っていただくという制度なので根本的な解決にはなりません。
そして、厚生労働省のデータを見ると施設系の介護スタッフは比較的若い年齢層の方々が働いていますが訪問介護員として働いている方々は60歳以上の方が多い。
内訳としては
施設系は30歳〜50歳まで46.4%。訪問介護は30歳〜50歳は34.5%。訪問介護員の年齢構成で一番多いのが60歳以上で31.6%。。
訪問介護を行うスタッフは登録ヘルパーの方も多く、登録ヘルパーの方は60歳を越えてもご利用者宅に行って仕事されている印象です。
嘉祥会でも町田市の日常生活総合事業が始まり、市独自の研修を終えて市基準型サービスに入れる「まちいきヘルパー」を数名雇用し60歳以上の方も数名仲間に加わっていただきました。
この表を見ると20歳未満、20歳〜29歳の数が少ない。特に訪問介護員は20歳未満が0.2%、20歳〜29歳が4.3%になっていますので今頑張っている60歳の方々が引退されたら自然と介護職員の人手が足りなくなります。
2017年6月現在、外国人技能実習生は訪問介護員はNGとされていますので、自然に人手がなくなってきます。
そして日常生活総合事業で市独自の研修を行っていますが、研修最終日に面接会にお邪魔した時はほとんどがシニアの方々でした。日常生活総合事業対象者で市の研修を終えてサービスに入れるのは生活援助だけですので、身体介護 はヘルパー2級、初任者研修を終えている資格を持っている人しか現在入れません。
ご自宅で身体介護を望んでも近い将来行く人材が足りなくなる事もあるかもしれません。
訪問介護は一対一でご利用者と向き合えるので本当に毎日充実感を得ていますが、これだけ訪問介護の人員が減っており身体介護に入るのは資格要件があり外国人技能実習生が行けないとなると、何かパラダイムシフトでも起こさない限り人員が増える事はありえません。
身体介護に入るのに数日間の研修を終えた職員に行ってもらうのは事業所も恐いですし、ご利用者も不安に思うはずです。そして外国人技能実習生には文化と言語の壁があるので日本語N4,N3では一対一になった時に難しい。
難しい問題です。
しかし確実にご自宅で訪問介護のサービスを望まれている高齢者の方は一定数いらっしゃいます。
どうやって解決していこうか、と危機感を持っています。

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彌 一勲

特別養護老人ホーム、訪問介護にて施設・在宅ケアに関わってきました。 ご縁があって出会った“人”の人生、生活に向き合い、専門職として関わることを大切にしています。介護が必要になってあきらめかけた自分らしい生活を介護士が黒子(きっかけ)となって叶う瞬間、ワクワクしている表情を見られる時にやりがいを感じます。 認知症になっても住み続けられるまちづくりを医療介護従事者、地域住民の方々と一緒に考え、行っています。