介護職としての心を育てる

皆様こんにちは!嘉祥会ブログ担当の彌 一勲(ひさし かずひろ)です。

このブログを書いているのが4月6日なのですが、暖かくなり小山田の桜も見頃を迎えております。

春を感じながらも、週末は天気が崩れるようで花見ができる時期も少ないかもしれませんね。

さて、既にブログやInstagramにて今年度の新人職員の紹介をさせていただいていますが、4月3日に新人職員向けオリエンテーションを行いました。

介護職としての心を育てる

去年から私が担当し始めたオリエンテーションなのですが、嘉祥会の理念やこれまでの歩み、新人職員でも知っておいてほしい制度の話し等を伝えるのも大切なのですが、何より私が最も強く訴えかけたいメッセージが「そのご利用者と接するのは、その日が最期かもしれない」
という事なんです。

何を当たり前の事を、と言う事なのですが、果たしてどれだけ意識できているでしょうか。

と私自身、常に問いただしています。

介護事業所の行うサービスは介護保険で決められた枠の中のサービスであり、特に訪問介護は時間で決められた支援内容から逸脱しないようにするのが鉄則です。
だから必要以上に顔を突っ込むとか、身を粉にして働けという事ではありません。

その時間、どれだけその人を想って、必要な一言、沈黙、アプローチを働きかけたか。を考えて行動してほしいのです。

週に二回、家事援助(掃除とか洗濯等)45分が必要なA様のお宅に訪問介護でお邪魔するという仮想のケース。

具体的な話しはなしとして、簡単にわかりやすい例で言います。

まず最初の一声だけでも意識がどこに向かっているかが、その人の事をどれだけ想っているかで変わってきます。

45分間でその方が必要な家事援助を終わらせる目標は同じです。しかし、その人を『想う』事で内容は雲泥の差になる。これです。

①「こんにちは」と挨拶後に作業を始める介護職員

②「こんにちは。お変わりありませんか?」と一言かけ、ご利用者の表情やお部屋の状況を観察できる介護職員

最初の始まりの1分か2分でも介護職員の気持ちと意識の方向だけでここから始まる45分間のサービスが違ってきますよね。

私が新人職員に伝えたい「そのご利用者と接するのは、その日が最期かもしれない」という事。もこれともちろんリンクします。

45分の活動を終えた数日後に体調が急変しA様がお亡くなりになった。

①と②の対応をしていたのでは運命が大きく変わっていたはずですし、お互いの心に与える影響も全然違います。

①の対応では気づけなかった体調の変化を②であればご本人の様子と部屋の様子で気づけたかもしれない。

②の対応を行う事で気づけた情報がありケアマネジャーや家族に相談ができ、急変する前に受診できて最悪の事態は避けられたかもしれない。

日常のサポートをし、お変わりある事に気づけるポジションが介護職です。その役割は大きいと思っています。なので「気づき」と報告連絡と他職種連携というのを重要視されるんですよね。

でも気づきって、難しい。日常的に言えば毎日合っている職場の女性スタッフが髪をすいたレベルで気づけていない事もしばしば。
冬期は常にマスク着用なので、風邪引いたかどうかも通常の様子から感じとれるか・・・・という所。
だからコミュニケーションって大切だなと思います。
同じ道でも同じ風景は二度と無く、日々物事は移ろいゆくと言いますが、気づきはアンテナの範囲と感度、意識の向かう先、そしてそれを考える引き出しの多さ。なんだと思います。

ちょっと脱線しましたが、話しを戻します。

ご利用者にとってその45分は自分ができない事をやってもらう為に来てもらっていて、目的を遂行してくれればそれでいいという方も中にはいらっしゃいますが、「今日はあなたと話すのがはじめてだよ」という外部との関わりが日常的ではない方にとっては私達とケアマネジャーが唯一の社会との繋がりの方もいらっしゃいますので、「有意義な45分」になればいいなという気持ちで行動しています。

45分の中のほんの5分でも、その方が好きな事のニュースをピックアップして話題に出せば、色々と聞き出せますし会話も盛り上がる。盛り上がって笑う事で体温が上がって活気が出てきて、お腹もすく。

なんていう感じで。運送会社にありそうですが、笑顔をお届け!が訪問介護の裏の目標なんですね。

そういう介護職としての『心』を育てていこう。

という事でオリエンテーションでは熱を込めてこれまでの嘉祥会での事例を話しました。
自分で話していても泣ける場面が訪れるのでこらえるのに必死でした 笑

そしてこのオリエンテーションを皮切りに今年度から新人職員育成でチューター制度を始めました。

介護職としての心を育てる

この仕組を通し、1年間かけて新人職員を嘉祥会の職員としてどこに出しても良い職員のレベルまで育てていきます。
介護技術、そして介護職としての心、そして社会人として。
一年後胸をはって、生き生きと仕事をしている職員になれるように全力でサポートしていきます。

法人規模は大きくなくてもいい、むしろ小さいからこそ嘉祥会はご利用者、職員ひとりひとりと真剣に向き合っていたい。

介護職としての心を育てる

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彌 一勲

特別養護老人ホーム、訪問介護にて施設・在宅ケアに関わってきました。 ご縁があって出会った“人”の人生、生活に向き合い、専門職として関わることを大切にしています。介護が必要になってあきらめかけた自分らしい生活を介護士が黒子(きっかけ)となって叶う瞬間、ワクワクしている表情を見られる時にやりがいを感じます。 認知症になっても住み続けられるまちづくりを医療介護従事者、地域住民の方々と一緒に考え、行っています。