アウトプット1に対してインプット10って感じ。〜一年間非常勤講師を経験して感じた事〜

一年間アルファ医療福祉専門学校の非常勤講師としてコミュニケーション技術を担当させていただきました(あと3回ありますが)。

その中でしみじみ再確認した事は現場でOJT,OFF-JTでも感じていましたが、人に教えるってすごく大変!という事。担当した授業は1年生のカリキュラムなので、4月から10月は介護の現場と介護って実際どんな仕事やっているの?がわからない中でイメージを膨らませながら専門用語や語句の意味を理解してもらいつつ、ジョハリの窓やバイスティックの7原則のような相談援助のスキルからグループワークの重要性ややり方を教えます。

介護現場、そもそも認知症の高齢者ってどんな方々なんでしょう?っていう事がわからない中で理解してもらおうと思うと自分の頭の中で思い描いているイメージをわかりやすい表現で伝えるだけでは不十分な事を痛感しました。11月に1年生は実習に行くので帰ってきた学生相手に話すのはとても楽になりました。具体的な支援の場をイメージしてもらって、高次脳障害や認知症、ブローカ失語の方の対応方法等を教えると頷く生徒さんが増えてきました。

それはイメージを共有できているから理解して頷くところまできているのだと思います。しかし、うつ病や統合失調症の利用者、発達障害、自閉症スペクトラムの方など現場で1,2人程度しか接した事のない方の対応方法を授業で教える機会もあったので、自分も十分に経験のない症状や疾患の方への対応方法の伝え方には苦戦しました。

実際の現場で身体と頭で覚えたものは具体例を出しながら生徒さんがわかりやすいようにお伝えする事に集中すればいいのですが、経験のない事に関してはまず自分の膨大なインプットから始まります。だから時間はかかってしまったけれど、インプットを十分にしてノートに押さえておきたい事、しっかり伝えるべき最重要なところ、国家試験の問題で出そうなところを書き出し授業の資料づくりをしました。

自閉症スペクトラムに関しては、実際にそういう方に出会って対応した事はなく、障がい者施設に行った時に少し関わった程度なので、東田直樹さんの著書やYOUTUBEを見て理解を深めて障がい者施設で働いていた人に話しを聞いたりして人に教えられるところまで持っていくのに大変な作業でした。

生徒がわかるように簡単な言葉で日常生活上で体験する事柄を例に例えてしっかり自分のものにしてもらうように。1回の授業でアウトプットするのに対し、10倍量をインプットしていないと恐くて授業できませんでした。かなり小心者なので知らない事をつっこまれた時に精神が乱れないように、これを聞かれたこうだと用意もしていました。

要領がそんなよろしくない自分でも現場経験としっかりした医療的観点を押さえ、介護保険の考え方と介護職としてあってほしい理想の介護福祉士像をからめて授業を組み立て1年間、計30回(まだあと3回ありますがw)やり遂げられました。また来年、1年生のコミュニケーション技術オファーをいただいているので、よりブラッシュアップし新学期までの数ヶ月間でインプットしまくって4月以降アウトプットしまくります。

人に教えるって本当に良い学びの機会になります。
こんな貴重な機会を与えてくれたアルファ医療福祉専門学校と講師に行かせてくれたぬくもりのスタッフに感謝。

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彌 一勲

特別養護老人ホーム、訪問介護にて施設・在宅ケアに関わってきました。 ご縁があって出会った“人”の人生、生活に向き合い、専門職として関わることを大切にしています。介護が必要になってあきらめかけた自分らしい生活を介護士が黒子(きっかけ)となって叶う瞬間、ワクワクしている表情を見られる時にやりがいを感じます。 認知症になっても住み続けられるまちづくりを医療介護従事者、地域住民の方々と一緒に考え、行っています。